オルゴールの種類の中でディスクオルゴールはシリンダーと並んで重要です。1
886年にドイツ・ライプツッヒのシンフォニオン社のポール・ロッホマン(Paul Loch-mann)
によってディスクオルゴールが開発されました。ディスク(円盤)を水平に回転することで、下の音の弁を弾く仕組みです。円盤の裏に突起を起こし、その
突起でコームを弾くのです。水平の力を垂直に伝達するために「スターホイール(星状)バー」が開発されました。
ポール・ロッホマンによって完成されたディスクオルゴールはその後、ディスクを取り替える仕組みが考案され、ディスクを
換えることが出来る為に、曲を買い増し、好きな曲を聞くことが出来ました。
透明で澄んだ音色のシリンダーに比べ、音量のあるディスク型は、アプライト型に発展し,コインを入れて鳴るジュークボックスに育ちました。ホテルやレストランのロビー
で多くの人々を楽しませました。ディスクの裏側に一つ一つピンを起こす手間はやがてプレスの技術によって解消
されます。当時でいう大量生産が進み円盤は大量に作られました。当時の名曲や流行の曲や、国家や軍歌やクリスマス
ソングや宗教曲など注文者の希望を入れて多くの曲が生まれました。1台のオルゴールには12枚のディスクが付けられ、
円盤の収納されるビンから好きな曲を選らんでかけられました。やがてディスクが自動的に選ばれるオートチェンジャーへ
発展して、蓄音機時代に大きな分野に育つジュークボックスの基礎を作ります。ディスクオルゴールのメーカーも
その需要に応じて増えていきます。
ドイツのポリフォン社は中でも重厚な低音と豊かな音が評判で大きな組織に育ち優れた
ディスクオルゴールのシリーズを生産しました。
スイスではメルモフレール社の「ミラ」や「ステラ」はディスクオルゴール業界で名器として名を遺すことになりました。
数少ないスイスのディスクオルゴールの中で「オルフェニオン」はその音色のやわらかさで当時から評判でした。その後
ポール・ロッホマンはアメリカに渡りレジーナ社のオルゴール作りに協力して大きなメーカーに育ちました。当時レジーナと
云えば、オルゴールを指し、オルゴールの代名詞になる程隆盛を極めました。
オルゴールの仕組み
ガバナー
オルゴールの仕組みはゼンマイで自動で動くことにありますが、そのゼンマイを平均して解かす仕組みに
ガヴァナーがありました。シリンダーのところで触れましたが、その仕組みの素晴らしさに感嘆します。ゼンマイを
巻き上げると当然ながらゼンマイは強く反発して解けようと逆の力が出ます。その力を利用して時計のゼンマイが
生まれ、オルゴールがこれを踏襲します。そのゼンマイを平均して解かす工夫がなされました。オルゴールにしか
ないこの仕組みは、空気抵抗を受けて解けていく不均衡を解決しました。高度なものはガヴァナーの羽が伸び縮み
して力の掛かったときは羽をいっぱいに広げ、ゼンマイの力が弱くなると面積を狭くして回転を速めました。
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